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言語聴覚科
 
 1.言語聴覚療法 
 
 当院の言語聴覚療法 (ST : Speech ‐ language ‐ hearing Therapy) は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害のほか,事故による頭部外傷、神経疾患
などが原因で言葉が出にくい,話の内容がまとまらない,すぐに物忘れする,気が散りやすく集中できない,呂律が回らない,飲み込みにくいなど脳の
働きによって起こるさまざまな障害に対して評価・訓練を行います。
  訓練では、患者様の状態に応じて機能そのものの改善をめざす機能訓練や、使える能力を活かした能力訓練、障害した機能を他の手段で補う代償
訓練など、患者様が円滑に日常生活を送り、コミュニケーションの楽しさや希望のある生活を取り戻せるように支援します。
 
 2.言語聴覚療法の対象
 
1)
失語
2)
全般性注意機能障害および半側空間無視
3)
記憶障害
4)
遂行機能障害
5)
その他の高次脳機能障害
6)
運動障害性構音障害
7)
摂食・嚥下障害 
当院は、成人の言語聴覚療法を専門としており、問診や各種検査結果などから障害像や障害の程度について判断し、主治医や
言語聴覚士からご説明させていただきます。
 
 3.言語聴覚療法科の環境と訓練スタイル
 
(1)訓練環境
言語訓練室
言語訓練室は1Fリハセンター内に5室、2F 〜 3Fに各1室、4Fに2室の計9室を完備しております。各訓練室には吸引ラインを設置し、1F 訓練室
には洗面台があります。
訓練室外観
訓練室内
 
(2)担当制
当院の言語聴覚療法は、基本的に担当制です。しかし患者様の状態に合わせて複数の言語聴覚士が関わる場合があります。
 
 4.訓 練
 
(1)失語症など言語障害に対する訓練
 一般に失語症は、脳卒中など左大脳半球にある言語中枢が損傷することで起こる言語障害です。失語症になると「人の話を理解する」、「言葉
で意思を伝える」、「文字を読んで理解する」、「文字を書く」といった言語機能のすべてが障害します。この状態は会話に支障をきたし、ご家族や
周囲の方が患者様の意思を理解するのに困るだけではなく、ご本人もストレスを感じています。
  訓練では、それぞれの言語機能を組み合わせて、言語機能そのものを改善するような段階的な訓練プログラムを考え、できることから目標に
近づけます。また,指さしや頷き、表情などを活用した訓練や障害の程度や状態によって絵カードやジェスチャー、描画などことば以外の代償手
段を用いたコミュニケーション手段も考えます。
聴いて理解する訓練
話す訓練
読んで理解する訓練
文字を書く訓練
 
◆コミュニケーションの拡大をめざす取り組み
 人は、ことばを話して思いを伝えるだけでなく、文字を書くこと、表情やしぐさ、指さしやジェスチャー、絵を描くなどさまざまな手段で思いや考え
を伝えることができます。言語聴覚療法には、これらのコミュニケーション手段を活かしてご家族をはじめ、他者に思いや考えを伝える訓練法
(PACE 訓練)があります。当院では、患者様の能力に合わせて入院中にすべき訓練、退院後の生活を想定したコミュニケーション手段の獲得
訓練を考え、ご本人やご家族の生活がより明るく、充実したものになることをめざしています。
 
(2)話し方(発声・構音)対する訓練
◆運動障害性構音障害
 言葉を話すときに使う唇や舌、のど ( 声帯 ) などの麻痺や腹筋群の筋力が低下すると、正しく発音ができない、呂律が回らない、声が小さい、
長く話すと息が続かない、声がかすれるなどの症状が出現し、発音が聞き取りにくくなります。また症状が重いと全く何を言っているかわからない
、話を推察して聞かなければならなくなります。このような口や声を出すために必要な器官の運動の問題で起こる障害を運動障害性構音障害と
いいます。運動障害性構音障害は、声を出すことや音を作る ( 構音 ) だけでなく、食べ物の「飲み込み」にも大きな影響を及ぼす事があります。
発語器官の訓練
呼吸訓練 ( ブローイング )
アイスマッサージ
 
(3)飲み込みに対する訓練
◆摂食・嚥下障害
 「食」は、生命維持に欠かすことのできないものであると同時に、人にとって「楽しみ」の一つです。しかし摂食・嚥下障害では、唇や舌、のどの
麻痺によって食べこぼしや噛みにくさ、むせ込みなどが生じ、今までのように食べる事ができなくなります。摂食・嚥下障害に対する訓練では、
まず口腔内の状態や発語器官の動きを評価し、さらに少量の飲み物や食べ物を使って飲み込みの検査を行います。
 当院では、週に 2 回の頻度でレントゲンを使った ( VF : Video fluoroscopic ) 検査などを行い、医師や看護師、言語聴覚士、管理栄養士が患者
様の状態に合った栄養管理や食形態を検討し、患者様が安全かつ「食」を楽しめるように訓練を行ってきます。
VF 検査食セット
VF 検査風景
VF 検査用リクライニングチェア
内視鏡検査
 
(4)日常生活の行動に対する訓練
◆高次脳機能障害
 高次脳機能は、「やる気 ( 意欲 ) 、集中力など ( 注意 ) 、覚える力 ( 記憶 ) 、考える力 ( 思考 )、物事を整理して段取りを組み立て、実行する力
( 遂行能力 ) など」より高度な脳の働きで、高次脳機能障害は一目で患者様の障害を見分けることが難しい障害です。これらの障害は、日々の
生活に支障をきたし、単独で日常生活を送ることが困難になることがあります。訓練では、いくつかの検査を組み合わせて、患者様の障害像を
把握するとともに、円滑に日常生活を送れるように訓練を行います。また高次脳機能障害について、ご家族にも理解していただき、ご家族が患者
様をサポートできるような指導を行っています。
認知機能の訓練
認知機能訓練
パズル課題では、ピースの形や向き、図柄に注意 (認識) しながら集中力や注意力
などに働きかけます。
ブロック課題では、図面 ( 見本 ) を見ながら立体の構成や組み立ての段取りなど
に必要な能力を高めます。
   
高次脳機能障害のおもな検査
積み木入れ課題
計算や迷路課題
言語障害以外にも記憶や注意、認知機能など
各種の高次脳機能検査を用いて障害に対して
多面的に評価を行っています。
自発性(意欲)を引き出し、形の認識や組み合わ
せ方を考える課題。
繰り上がり・繰り下がりを考えて正しく計算する
ことや、 状況を予測して道筋を立てる能力を
やしないます。