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先端的リハビリテーション Latest Rehabilitation

スピンアウトを素早く臨床に活かす

当院では積極的に最新のリハビリテーション機器を治療に取り入れております。いずれも対象患者さんに効果があることが証明されたものを採用し、治療の幅を広げています。治療のどの段階で何が必要なのかを的確に判断できるリハビリテーションのスペシャリスト集団であるからこそ、効果的な機材を選択して購入し、臨床場面で使用することができます。
また、機器だけでなく、専門的で他回復期病院では施行が難しいが根拠のあるリハビリテーション治療法についても、患者さんの機能回復を目指し、われわれはチャレンジしています。
以下に紹介する治療はそれぞれ適応基準があり、症状によっては治療対象とならないことがございますので、ご希望の方は一度主治医・担当療法士までご相談ください。

TOYOTAウェルウォーク

TOYOTAウェルウォークWW-2000は、脳卒中などにより脚に麻痺が出現し歩行が困難となった患者さんが、歩行をもう一度覚えるために装着する学習支援ロボットです。

ウェルウォークの特徴は、麻痺した脚にロボット脚を装着することで、適切なアシスト量で麻痺した足の振り出しや体重支持などを補助できるため、患者さんが潜在的にもつ力を最大限に引き出した歩行トレーニングを実現します。また、転倒防止のための支えがあるため、トレーニングを安全に繰り返し行うことが可能です。能力の回復に合わせロボットのアシスト量を調整することができるため、歩行獲得へのスピードを早められる可能性があります。

また、機器を装着しなくても、ご自身の歩行状況を前方モニターでリアルタイムに確認できるため、歩行のフォームチェックを行うこともできます。

当院の理学療法について

電気刺激療法

電気刺激療法は脳卒中治療ガイドラインにおいて「行うことが勧められている」として掲載されており、科学的根拠のある治療法です。具体的には,日本で開発された随意運動型電気刺激装置(IVES、動かそうとするときの筋肉の動きを増強する機械)を使用しながら、リハビリテーションの時間だけでなく病棟生活でも積極的に麻痺した腕や手を使っていただくという治療です。治療期間は3週間です。障害の状態に応じてさまざまな選択肢を用意している点も当院のリハビリテーション体制の魅力です。

当院における電気刺激療法の対象は、主に脳卒中後の片方の手の麻痺がある入院患者様で、指を伸ばす力が不十分なため訓練や日常生活が困難となっている方です。その他、詳細な適用条件がございますので主治医・担当療法士にご相談をお願いします。

CI療法

脳卒中によって腕や手に麻痺が残った患者さんは、麻痺のない方の手で日常生活を概ね自立して行うことができます。そのため、次第に麻痺した手を使わなくなっていき、本来はもっと使えるはずの手が次第に使えなくなってしまう、ということが知られています。
改変CIMT (modified Constraint Induced Movement Therapy-回復期CI療法) は、このような問題を解決するために開発された治療法です。

CI療法は、脳卒中治療ガイドラインにおいて「行うことが強く勧められている」として記載されており、世界で広く行われている安全で効果的なリハビリテーションですが、日本では実施している病院・施設はまだまだ少ないのが現状です。当院は全国の回復期リハビリテーション病院の中でも先駆的に平成26年5月より回復期CI療法を導入し、治療実績を重ねています。

当院のCI療法は1日3時間集中的に麻痺側の手を使う時間を設け、これを週5日、3週間継続して入院の上実施します。CI療法を通して、入院中から麻痺した腕や手を積極的に使用して、上肢の使い方をご自身で習慣化することで、退院後も使用を継続でき、長期的にもさらなる機能改善を期待できます。

当院におけるCI療法は、主に脳卒中後の片方の手の麻痺がある入院患者様で、手指の動きがわずかに可能で、小さなものをつまんだり離したりといった動作が部分的にでも可能な方が対象となります。その他、詳細な適用条件がございますので主治医・担当療法士にご相談をお願いします。

能動型上肢用他動運動訓練装置

脳卒中後に重度~中等度の上肢麻痺が残存した患者様に対し、ロボット支援訓練と作業療法を併用することで、より効果的な治療成果が得られることが報告されています。 作業療法士がロボットを道具として訓練の一部に活用することで、運動麻痺の重症度や回復過程に応じて、最適な訓練条件を設定することができます。 ロボットの最大の特徴は、同一の運動を一定の介助量で何度も反復することができる点にあります。ロボットを患者様自らの意思でコントロールして上肢を動かすことにより、より主体的にリハビリに取り組むことができます。

当院で採用する上肢用運動訓練ロボットは、伸縮するジョイスティック構造のアームを持つ機器で、患者様は機器の側方に座り、前方のディスプレイに表示されるターゲットに合わせて、アームを随意的に操作します。三次元の運動支援が可能で、訓練パターンやモードを柔軟に多彩に選択できるのが特徴で、自主訓練として積極的に使用することで、上肢近位部(肩・肘・前腕)の機能が向上することが報告されています。

一方、ロボット支援訓練のみでは、日常生活で実際に麻痺した上肢を使用することが困難であることも数多くの研究結果から明らかとなっています。運動機能が改善してきた上肢を、どのように日常生活の中で使用していけばよいのか、作業療法士と協力して問題解決に取り組むことで、より実用的な訓練効果を得ることが期待できます。

当院の作業療法について

プリズム適応療法

ヒトの空間的な注意機能は、右脳が優れていることが知られています。脳卒中により右脳に障害をきたすと、左右の脳でアンバランスが生じます。これにより、空間的な注意が右方向に偏り、損傷側とは逆の左空間に注意を払えなくなる「半側空間無視」という症状が生じます。

半側空間無視のメカニズムはまだ未解明で、左の脳の損傷によって起こることもありますが、右の方が多く、かつ右脳を損傷された方の4割程度に認められるとされ、脳卒中後の高次脳機能障害として比較的頻度の高い症状です。脳卒中のリハビリテーションにおいて、無視の存在は機能獲得を阻害する重大な要因としてあげられます。

プリズム適応(prism adaptation: PA)では、プリズム眼鏡により視野をわざと右にずらした状態を作り出します。この眼鏡をかけると、最初に物が見える位置と実際の位置、手の動きが一致しないため、目標とずれた位置に向かって腕を伸ばそうとしますが、動作を繰り返すと徐々に正確に目標に向かって腕を伸ばせるようになっていきます。

この現象を半側空間無視のリハビリテーションに応用したものがPA療法です。PA療法は、視覚のズレと、ズレを修正しようとする運動企図の両方に影響を与え、他の方法に比べて少ない回数で治療効果が長く持続すること、大掛かりな装置を必要としないことから、実際の臨床場面に応用可能な方法として注目されています。早期にPA療法を行うことで、検査結果の改善にとどまらず、立位のバランスや車いす駆動など日常生活に関わる部分での改善も報告されています。

当院では、回復期に当たる発症後1~3ヶ月で、半側空間無視を合併されておりかつPA療法施行可能な方に対し、1日2回(1回に10~15分)、週5日、2週間のPA療法を実施しております。

失語症デイケア

失語症を有する方にとって、介護保険サービスによる言語療法を受けられる施設は少なく、加えて、退院された方の多くは「言葉が出ない」「うまくコミュニケーションできない」ことで社会的交流や外出に消極的になり、結果として言語の練習をする機会がますます制限される傾向にあります。

当失語症デイケアでは、毎週土曜日の午前に通所リハビリテーションに来所していただき、コミュニケーション能力の向上を目指される方を対象としたグループ訓練を行っています。訓練では、会合や買い物といった日常生活場面を設定したロールプレイング、小グループでの会話練習、それぞれのレベルに合わせた個人での言語プログラムを実施しております。

ご家族の同席を積極的にお受けし、その方に合わせたコミュニケーションのとり方もお伝えしています。また定期的に東京湾岸リハビリテーション病院で言語機能やコミュニケーション能力を測定し、結果をフィードバックするとともに、より効果的なコミュニケーションの取り方を一緒に考え、活動・参加の促進を目指しています。

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