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病院機能評価(高度・専門機能) Japan Council for Quality Health Care Examination Outcome

高度・専門機能について

リハビリテーション(回復期)に特化した項目について、病院機能評価の本体審査後に評価されます。

審査にあたっては、地域において高い水準の回復期リハビリテーション機能を担う病院で、以下のすべてを満たす病院である事が求められます。

主たる機能種別または副機能にて「リハビリテーション病院」を受審していること。

回復期リハビリテーションを継続的に行うための適切な体制が整っていること。

常勤の「公益社団法人日本リハビリテーション医学会 リハビリテーション科専門医」が回復期リハビリテーション病棟において、主治医または担当医として従事していること。

回復期リハビリテーション病棟におけるリハビリテーション提供単位数が1日当たり平均6単位以上であること。

当院では、2020年1月に全国に先駆けて認定されました。

14項目で「S評価」を取得しました

審査は「患者中心の医療の推進」「良質な医療の実践1」「良質な医療の実践2」「理念達成に向けた組織運営」の4領域、約90項目からなる基準を、書面審査及び評価調査者による訪問審査を経て最終的に「S:秀でている」「A:適切に行われている」「B:一定の水準に達している」「C:一定の水準に達しているとはいえない」の4段階で評価します。

特に「S評価」は評価項目の達成度が優れ、かつ、その評価項目に関連して病院独自の優れた取り組みがある場合に評価されます。

2019年10月に実施された審査結果は下表のとおりでした。

秀でている:S 14
適切に行われている:A 99
一定の水準に達している:B 0
一定の水準に達しているとはいえない:C 0

14項目において「S:秀でている」と評価していただきましたのでご紹介させて頂きます。

S.1 患者と診療情報を共有し、医療への患者参加を促進している
S.2 地域の医療機能・医療ニーズを把握し、他の医療関連施設等と適切に連携している
S.3 倫理・安全面などに配慮しながら、新たな診療・治療方法や技術を導入している
S.4 療養環境を整備している
S.5 転倒・転落防止対策を実践している
S.6 診断・評価を適切に行い、診療計画を作成している
S.7 栄養管理と食事指導を適切に行っている
S.8 理学療法を確実・安全に実施している/a>
S.9 作業療法を確実・安全に実施している
S.10 リハビリテーション機能を適切に発揮している
S.11 病院管理者・幹部は病院運営にリーダーシップを発揮している
S.12 職員への教育・研修を適切に行っている
S.13 職員の能力評価・能力開発を適切に行っている
S.14 専門職種に応じた初期研修を行っている

患者中心の医療の推進

– 患者の意思を尊重した医療 –

1.1.3)患者と診療情報を共有し、医療への患者参加を促進している

審査結果報告書より

院内掲示や、入院のしおりの中に、入院に関する説明事項同意書や生活歴の記載などで、患者の義務として情報の提供・治療に対する主体的参加を促している。ベッドサイドに週間スケジュールや安静度を表示し、ネームバンドや車椅子に介助レベルに応じた表示を行うなど、治療・ケアに必要な情報を共有している。患者の理解を深めるため、各疾患別パンフレットは「入院前」「入院中」「退院後」と3 種類あり、疾患・再発予防・リハビリテーションの内容、転倒予防、相談、費用などを説明している。YouTube による動画説明などもあり、それぞれのステージに合わせた内容で活用しており高く評価できる。


– 地域への情報発信と連携 –

1.2.2)地域の医療機能・医療ニーズを把握し、他の医療関連施設等と適切に連携している

審査結果報告書より

診療圏の急性期病院からは極めて多数の紹介実績があり、近隣医療圏からも多くの受け入れを行っている。受け入れの実績は連携室にて把握している。リハビリテーションを希望する患者に、自院におけるリハビリテーションの内容を集約した「入院前note」を急性期病院に届ける取り組みを行っており、患者が病院を選択する際に役立てている。また、地域と周辺の多数の連携会議や、習志野市連携の会、千葉県脳卒中意見交換会、千葉県回復期リハビリテーション連携の会、千葉県摂食嚥下ネットなどの連絡会において中心的な役割を果たし、相互に信頼関係を築いている。介護福祉施設やサービス事業者からの信頼も厚く、良好な連携体制を構築しており、退院後のかかりつけ医との連携、リハビリテーションの継続性につながっている。退院後のリハビリテーションと生活等の情報を集約した「退院後note」を患者、在宅事業者、自院の間で活用しており、地域の医療関連施設等と連携する取り組みは高く評価できる。


– 継続的質改善のための取り組み –

1.5.4)倫理・安全面などに配慮しながら、新たな診療・治療方法や技術を導入している

審査結果報告書より

超音波ガイド下ハイドロリリースやサイレントマニュプレーションなど、年間約10件の新たな治療器や治療法について医療機能改善会議や倫理委員会で審議のうえ可否が決定され、新たな治療の導入を積極的に行っている。また、事前の伝達講習等を実施して安全面への対策を適切に行っている。倫理審査委員会において、2019年度は32件、2021年度は31件の外部委員を交えた臨床研究の審査を行っている。また、研究終了までプロトコールに沿って実施されていることを確認している。院外から特別講師を招いて、勉強会の開催や院外講習会、および各学会への参加を励行し、安全で質の高い医療を提供するために、新しい知見や治療方法を積極的に導入していることは高く評価できる。


– 療養環境の整備と利便性 –

1.6.3)療養環境を整備している

審査結果報告書より

病室は診療・ケアに必要なスペースが確保され、季節感や癒やしの空間となるよう、玄関ホールに毎月職員と患者で作成する季節ごとのモニュメントを飾る取り組みを行っている。食堂には高さの調整が可能なテーブルや病態に応じた席の配慮があり、廊下には5m単位で表示がある。汚染した寝具を適切に取り扱い、清潔な寝具を提供している。車椅子用のトイレとシャワーは各部屋に整備しており、患者の障害・状態を踏まえ、左右の手摺りに応じた部屋の選択を行っている。入浴自立者は毎日シャワー浴が可能であり、介助浴は週2回行われ、浴室は介助浴槽・特殊浴槽があり、ナースコールの設置、湯温の管理を行っている。手が使えない患者の対応として、音声認識によるカーテンの開閉機能、テレビ・照明の作動が可能な病室があるなど、患者に配慮して安全かつ良質な療養環境を提供していることは高く評価できる。

良質な医療の実践1

– 診療・ケアにおける質と安全の確保 –

2.1.6)転倒・転落防止対策を実践している

審査結果報告書より

入院時に、全患者に対して転倒・転落スクリーニングシートを用いて多職種でアセスメントを行い、患者・家族に対して転倒リスクと予防策の必要性について医師が説明後、同意を得て実施している。情報共有はベッドサイド安静度表示や車椅子・ネームバンドのカラーリング等でも行い、周知徹底を行っている。ハイリスク患者はハイリスクスクリーニングシートにより、看護師が72時間観察を行い、カンファレンスで対策の妥当性を評価している。対策の経過は特殊予防策経過観察シートを用いて、安全性の評価を行い、ADL変更時は再度スクリーニングシートで観察・評価を行っている。転倒・転落発生時は転倒カンファレンスを実施し、ワーキンググループが予防策の検討、事例の振り返り、ラウンドによる対策遵守状況の確認を行っている。結果として転倒リスクの最小化や活動性の最大化を図る成果が得られていることは高く評価できる。


– チーム医療による診療・ケアの実践 –

2.2.5)診断・評価を適切に行い、診療計画を作成している

審査結果報告書より

入院時に医師による診察や患者背景を聴取し、患者・家族の希望を踏まえ、多職種で入院診療計画書やリハビリテーション総合実施計画書を作成し、医師が説明を行っている。退院支援カンファレンスやチームカンファレンスなどで退院後の活動・参加を考慮し、リハビリテーションの進捗に応じた診療計画の見直しも行っている。また、入院時に一般的検査に加えて、全患者に頸動脈エコー・心臓超音波検査・頭部CT・骨密度・体組成評価を行っている。さらに、脳卒中患者には睡眠時無呼吸検査・1週間ホルター心電図、高度肥満患者には呼気ガス分析による安静時代謝測定などのスクリーニング検査を行い、併存疾患・合併症・二次障害・転倒リスクに配慮して診療計画を立案していることは高く評価できる。


– チーム医療による診療・ケアの実践 –

2.2.15)栄養管理と食事指導を適切に行っている

審査結果報告書より

管理栄養士は、患者の栄養状態のアセスメント・モニタリングとして、食事摂取量・体重・食習慣・嚥下状態等を確認後、MUST による栄養評価を行い、栄養管理計画書を作成している。管理栄養士は毎日昼食時にミールラウンドを行い、低栄養患者・低栄養リスク患者に介入している。さらに、週1 回の多職種ラウンドにより食形態・自助具・補助食品の検討等を行い、低栄養の改善を図っている。摂食・嚥下機能が低下している患者に対しては、年間約380 件のVF を行い、嚥下状態に応じた食事形態・とろみ調整・食事介助シートを使用した介助方法の統一を行っている。看護師による摂食機能療法は9,300 件以上実施され、月に約8 件の個別の栄養指導を行い、集団では毎月生活習慣病の食事指導が行われている。NST は8 職種によるチームで構成し、直近では週40~50 件のラウンド実績がある。入院時に全患者にインボディ(体成分分析装置)を使用した体組成評価が行われ、科学的評価のもとで、退院時の低体重患者の割合が減少していることは高く評価できる。


– チーム医療による診療・ケアの実践 –

2.2.17)理学療法を確実・安全に実施している

審査結果報告書より

専門的な初期評価と、リスク管理シートを使用したリスク評価を行い、個別に作成したリハビリテーションプログラムに基づいて理学療法を実施している。また、目標達成振り返りシートを作成し、訓練効果を確実に定期評価し、目標や治療プログラムの見直しを行っている。リハビリテーションの中止基準を設定し、BLS 講習も行い、リハビリテーションは365 日、合計時間は平均1 日2 時間以上実施している。新人の職員には臨床業務ノートを使用し、先輩が行う臨床を見学・模範してスキルを学び、均一な教育体制を構築している。また、経験年数が浅い職員とマネジメントリーダーで構成するチームが活動し、部内の情報共有と他部署への情報発信・共有を円滑に行っており、各職種に特化した指導が必要な場合には先輩職員が指導を行うなど退院支援を過不足なく行う体制となっている。各職種がチームを組みリハビリテーションを提供する体制を構築することで、患者・家族が退院後、安心・安全に生活できるように目標の実現に向けて効率的・効果的なチーム医療を実践している。KYTを取り入れるなど、医療安全文化の醸成にも取り組んでおり、日々の安全管理に関する教育体制の効果が見られ、理学療法中の転倒・転落インシデント数は職員数が増加しても低水準を保っており、成果が見られる。これらの取り組みは患者の安全な理学療法の実施に繋がっており、高く評価できる。


– チーム医療による診療・ケアの実践 –

2.2.18)作業療法を確実・安全に実施している

審査結果報告書より

面接シートを用いた情報収集や移乗・トイレ・入浴動作の作業工程分析表を用いた定性的評価に基づき課題の可視化を行い、個別的に作成されたリハビリテーションプログラムに基づいて作業療法を実施している。リハ部門システムを用いて申し送りを行い実施内容やリスク情報などを共有している。また、調理や刃物を使用した訓練に際し、訓練中の外傷を防止するために事前のチェックシステムを構築し運用している。新人職員に対して臨床業務シートの導入と先輩職員による支援を行い、2021 年度165 件の家屋訪問調査をコロナ禍で行い、積極的に自宅復帰を支援するなど、作業療法を確実・安全に実施していることは高く評価できる。

良質な医療の実践2

– 良質な医療を構成する機能1 –

3.1.5)リハビリテーション機能を適切に発揮している

審査結果報告書より

リハビリテーション科専門医7 名、理学療法士60 名、作業療法士46 名、言語聴覚士14 名が配置され、365 日、平均1 日7 単位以上のリハビリテーションを実施している。各療法士による定期評価とリハビリテーションプログラムの見直しを行い、紙カルテに一元化されたリハビリテーション記録とデータベース(TBRics)で情報共有し、医師を含めたチームアプローチを実践している。また、外部業者とレンタル契約を結び、患者に適合した点検を行い、清掃済の車椅子や歩行器などの福祉用具をタイムリーに提供している。歩行訓練ロボットや上肢訓練ロボットなど、多数の医療機器を備え週1 回の点検も実施している。さらに、退院患者に対して外来IVES 訓練などの生活期のリハビリテーションを積極的に行い、機能向上に取り組んでいることは高く評価できる。

理念達成に向けた組織運営

– 病院組織の運営と管理者・幹部のリーダーシップ –

4.1.2)病院管理者・幹部は病院運営にリーダーシップを発揮している

審査結果報告書より

病院の意思決定会議は運営会議であり、主要な病院幹部で構成され、機能を発揮している。病院幹部は理念遂行のために、具体的に長期計画を可視化して示している。「日本で実現できる最良のリハビリテーション医療」を病院目標として掲げ、最新機器や技術の導入、チーム医療の実践、入院から在宅までの一貫したリハビリテーションの提供など具体的な取り組みにつなげている。特に、教育・研修については院長によるリーダーシップを発揮し、質の高いリハビリテーションの目標と職員の技術の向上が一致するよう方向性を明確にして職員に示しており、就労意識を高めている。また、大学に多くの研究者・教育者を輩出し、指導的な療法士を送り出すなど、教育を重視した取り組みは、多くの入職希望学生につながっている。運営上の課題は医療機能改善会議で検討し、病院幹部は改善の方向性を明確に職員に示している。また、各科連絡会議において課題の進捗とベンチマークを行い、双方向性のある運営を行っており、質の向上に向けたリハビリテーションの意識を高めている。


– 教育・研修–

4.3.1)職員への教育・研修を適切に行っている

審査結果報告書より

全職員対象の研修は、医療関連感染制御、医療安全、防災、倫理、個人情報保護を全職員必須の研修として位置づけている。各専門職の技術研修は計画的に遂行され、知識と経験を蓄積している。各部門が共有するリハビリテーション医療については年30 回、月1 回の「湾岸ゼミナール」の開催実績がある。また、外部からの講師導入にも力を入れており、毎週研究検討会を開催している。さらに、院外の諸学会への参加などは病院補助で奨励しており、2021 年の実績では国内学会発表35 題、英文論文16 本の実績があり、職員教育の成果は全国のリハビリテーション医療の発展に寄与している。職員の教育・研修の功績は2021 年には文部科学省科学研究費助成事業の研究機関の指定を受けているなど、職員の教育・研修の取り組みは高く評価できる。


– 教育・研修–

4.3.2)職員の能力評価・能力開発を適切に行っている

審査結果報告書より

年2 回の人事考課は考課訓練を受けた考課者(上司)によって客観的で公平な考課を行っている。各部署で定期的に職員面接を行い、個々の職員からキャリア形成の志向を聴取し、面接の内容を踏まえて研修会や、外部講師を迎えた勉強会、研究指導の機会を提供している。看護協会やリハビリテーション病棟協会の認定看護師資格、認定療法士、セラピストマネージャー認定資格、公認社会福祉士の認定資格等の取得を支援しており、職員の成長につながっている。また、全常勤医師に対して指導医・専門医の取得を支援するなど、確実に各職員の臨床におけるスキルアップにつながっている。さらに、大学院進学と業務の両立を支援し、療法士は修士取得や博士取得の実績があり、大学の教授などを輩出している。自院の能力評価・能力開発の成果を全国に広めるに至っており、取り組みは高く評価できる。


– 教育・研修–

4.3.3)専門職種に応じた初期研修を行っている

審査結果報告書より

入職時のオリエンテーションで医療関連感染制御、医療安全、倫理について研修を実施した後、職種ごとのプログラムに沿って、年次別教育・目標プログラムを遂行している。指導を行うとともに、プログラムの評価や改善を進めている。指導者は看護指導者認定研修、リハビリ認定看護師、セラピストマネージャー等の資格者であり、先輩職員も集団で初期研修の内容を充実させている。特に、研修の進捗状況を可視化するためにポケットサイズの「臨床研修ノート」を活用することで、指導内容の差や漏れをなくして均一な教育を保証している。研修する職員は「臨床研修ノート」の内容を臨床現場で先輩職員が実施する場面を見学・模倣することでスキルを培い、早期成熟を目指している。初期研修は、その後の研修への継続性を意識して取り組んでいるなど、高く評価できる。